精密な検査を受ける

周りの人が心配しだしたら、
認知症の兆候が
出ているかもしれません。
その場合は一度
病院に行ってみましょう。

脳検の結果が同年代の平均と比べて芳しくなく、日常生活でもいくつか気になる点があるようであれば、詳しく診察を受けられることをお勧めします。認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)は、そのまま放置してしまうと認知症を発症する確率が高い状態とされていますが、適切な対策を行うことで認知症を発症せず、健常状態に回復される場合も少なくありません。

脳ドック(脳MRI)では、認知症の兆候はわかりません。

脳ドック(脳MRI)などで「認知症の兆候が分かる」とうたっているクリニックなどもありますが、残念ながら脳ドックでは、認知症の兆候はわかりません。脳ドックで行う脳MRIは、本来脳の血管のコブ(動脈瘤)を調べる検査器で、認知症の兆候を測るものではありません。認知症になると脳が萎縮することがあり、それを診ているとも言えますが、萎縮が目で見てわかる状態であれば、すでに認知症になってしまっていると考えられます。自身の足でそこまで行くこともままならなくなっているでしょう。
また認知症になれば、必ず脳が萎縮するともいえません。萎縮しないまま認知症になっているケースも多くあります。
脳ドックに行って医師から何も言われていないから、認知症は安心、というわけではありません。

心配な場合は、近くの専門医のいる「もの忘れ外来」に行ってみましょう。

週3回以上、1回40分の有酸素運動などに取り組んでも、なお状態が改善されない時には、認知症専門の病院で診察を受けましょう。認知症の診察は、病歴や日常生活の様子などの問診からはじまります。自身の症状に気づいていないこともあり、ご家族など身近な方の情報が何よりも大切ですので、一緒に病院に行かれるとよいでしょう。そこで行われるテストとは、「長谷川式簡易知能評価スケール」や「ミニメンタルステート検査(MMSE)」などです。いずれも10分前後でいくつかの質問を行い採点します。具体的には、見当識(例お歳はいくつですか?/今日は何月何日ですか?)や計算(例:100ひく7はいくつですか?)、言葉の記憶などのテストです。30点満点のこのテストで認知症の疑いがある場合には、さらに検査を行います。
脳検査には、頭部MRIや頭部CTといった脳の画像を撮影することで、脳の萎縮の状態や脳梗塞などを診断する検査と、脳の血流が保たれているかを調べるSPECT(脳血流シンチグラフィ)や、MIBG心筋シンチグラフィなどがあり、認知症のタイプ(アルツハイマー型/脳血管型/レビー小体型)や病状の進行度合いまで判断することができます。